ヤマハ電動車いすの修理1 タウニージョイX編


■ もんちゃんには,電動機器に詳しい従業員がいます。 これを強みとすべく,電動車いすの修理や中古品販売,自費レンタルを始めました。 ※もんちゃんにはヤマハで正規のメンテナンス研修を受けたスタッフがいます。

 電動車いすの取得に当たっては,公的給付を利用した場合は入手までに数か月かかります。その間に自費でレンタルすると約25,000円/月がかかります。 また,自費で購入しようとすると非常に高価(約40万円)であったりします。このあたりの問題を,中古車両の活用で解決できないかな、と考えて始めた仕事なのです。

 で,さっそく中古の電動車いすを仕入れました!

 何台あるでしょう!? もんちゃんの福祉用具修理場は相談室も兼ねておりますので,早く直してしまわないとお客さんの対応ができません。。。
 ここにある4台は,全て修理・洗浄・消毒することになるのですが,今回のお話は奥に2台見える「タウニージョイX」という電動車いすの修理について,もんちゃんならではの工夫をお伝えしたいと思います。



■ 仕入れたタウニージョイXは2台。 とある筋からお安く払い下げて頂いたのですが,色々と修理する所があります。
まずは消耗品のタイヤから。 2台ともパンクこそしていませんでしたが,長期間ご利用されていたようで溝が浅くなっておりました。
 

 タウニージョイX純正のタイヤは47−305(ISO),台湾のチェンシン製のものを採用しています。(2018年現在) タイヤの溝が減った時はタイヤだけを交換すればよいような気もしますが,タイヤを外すとバルブ回りがサビまくっていたりしますので,タイヤとチューブは同時に交換する方が良いと思います。



■ 純正品をヤマハより取り寄せた場合,工賃・税込み,左右両輪同時交換で8,000円程度を頂かないと修理できないのですが,タイヤの溝パターンを問わないのであれば,同じチェンシンタイヤを使ってコミコミ5,500円程度で修理することができます。 今回は2台中1台を純正タイヤにて修理して,もう一台を後者の5,500円コースの修理としてみました。

 これが純正8,000円コースで,   こっちが汎用部品による修理5,500円コースです。

 交換してみての所感ですが,どちらのタイヤでも部品の品質は同等です。 今後は,実際に運用しながら寿命の違いなどを考察していきたいと思います。
※ 同メーカーのタイヤなので,おそらく寿命も同等水準にあると思います。 個人的にはコスパの良さそうな後者の修理をオススメします。


■ 2台中1台に,転倒防止キャスタの歪みが生じていました。 

     

歪みの原因はキャスタ取付ブラケットの曲がりです。 t2.3の板金材料がこれだけ曲がるのですから,かなりの外力が加わったのだと思います。
よくある故障らしく,このブラケット部品は左右片方1個から注文できます。

■右後輪の転倒防止キャスタに強い外力が加わったときは,キャスタのブラケットだけでなくバッテリ接続部のブラケットにも歪が出ます。

 これが正常。  これが歪んだもの。
 
この程度の歪はプレスで修正できますが,新品を購入しても1,000円しない程度で調達できます。(送料・工賃別途) 今回はレンタル用の車いすを修理しているので,安心安全のために新品を使用します。


■ ここまでの修理であれば,単なる部品交換で終わってしまいます。 もんちゃんの創意工夫点はここからです!

 電動車いすには,電動と手動(介助)を切り替えるクラッチレバーがあります。 タウニージョイXの場合は,車輪左右のクラッチが独立しておりますので,クラッチ切替レバーが2個/台付いています。
    

今回の修理品では,このクラッチレバーの樹脂ブラケットが,ワイヤー付け根のところで割れているのです。 2台とも,かつ左右ともで計4カ所の破損です。
こうなると,おそらくこの破損は実用上想定される原因で高頻度に起きるもので,本質的には部品の新品交換では根治しないと思います。

 割れている部分の機能は,クラッチワイヤのアウターを固定することですので,この部分を金属へ置き換えたいと思います。
 ※余談ですが,この樹脂ブラケットだけで部品を取ることはできません。新品交換になると”クラッチワイヤアッセンブリ”の交換となり,片側だけで5,000円程度の費用が掛かります。

 もんちゃんの発想で新たに作成した部品がコレ。 とても単純な部品ですが,t2.0のアルミ板で作成しており,ワイヤーのアウター固定には十分な強度です。
 作成はひたちなか市の”西野精器製作所”様にお願いしました。いつも短納期できれいな部品を作って下さり,ありがとうございます!

 この部品を追加して,クラッチレバーを組み戻します。
  
 これで,クラッチワイヤの固定がしっかりしました!



■ 中古品のリフレッシュ作業で大切なのは,普段触れるところ,目につくところがきれいであることですよね!
 電動車いすで言えば,操作部や生地類になります。 そこで,操作部の表示部シートを張り替えて,生地類は外注で洗浄・消毒をします。
  


■ 最後に重要部位の増し締めをします。 すると,右後輪の車軸ナットが規定トルク以下で回りました。 増し締めだけでは不安なので,外して状況を確認します。
 

 ナットに緩みがあった側のフレーム

 規定トルクで締まっていたフレーム  ナット側にもメッキ層の摩耗がみられます。
 
 ナットの緩みが原因で,車輪の前転後転にともなってモーター側のリブがフレームを攻撃して,フレーム側の受け溝回りにフレッティング摩耗ができています。
 今回はまだ傷が浅かったのですが,過度な摩耗であったり厳密に修理する場合は,アルミの肉盛り溶接+修正加工が必要になります。
アルミの肉盛り+修正加工を外注すると,それだけで中古車両がもう一台買えるほどの金額になるため,今回は金属パテでの形状修正を施して組み戻します。

 ※ひとたびフレッティングが始まると,フレームとワッシャ間でもネジ軸方向に摩耗が進み,ますます軸力が抜けていきます。パッシブセーフティの観点でみると,純正ではナットにフランジ付Uナットが使われていますが,プレスワッシャ+スプリングワッシャ+Uナットへ変更した方が良いかもしれません。


■ やっと完成!
  

 これらの過程を経ていますので,この車両は分解しないと清拭できないところもきれいに拭きあげてあります。 自信をもって販売・貸与できる状態にリフレッシュしました〜!

電動車いすをお使いで気になるところがある方,中古の電動車いすをお探しの方,ぜひ”もんちゃん”へご連絡くださいませ!
中古車両はヤフオクなどでも流通していますが,中古車と同じで目利きができないと粗悪品の高値掴みをすることになりかねません。また,不具合時に頼るところがないと思います。もんちゃんはずっとお付き合いをさせて頂きます!